薬学書 買取 埼玉 |新薬以呂波地引を高価買取しました。

薬学書 新薬以呂波地引の買取実績詳細

項目詳細
買取日2025年2月18日
買取方法出張買取
買取金額160,000円
買取地域埼玉県 さいたま市
ジャンル医学書・薬学書・看護学書
冊数2冊
主な内容伊東本支編『新薬以呂波地引』(全2巻揃)明治9年 明治時代和本
本の状態キズ汚れあり

新薬以呂波地引の買取を行ったスタッフからのコメント

埼玉県川越市にお住まいのお客様より、薬学古書『新薬以呂波地引(しんやくいろはぢびき)』の出張買取をご依頼いただきました。本書は江戸末期から明治初期にかけて刊行されたとされる薬学辞典で、当時の日本で流通していた薬草・漢方薬・処方技術に関する膨大な知見を「いろは順」で編纂した貴重な薬学系資料です。現代では実用的な側面を超えて、和方医学・本草学・製薬史・文化史など多分野にわたる研究資料として注目を集めており、全国的にも現存数が少なく、保存状態の良いものは極めて貴重とされます。今回、当店ブックリバーでは内容・装丁・保存状態・流通希少性を総合的に評価し、高価買取を実現いたしました。

『新薬以呂波地引』は、明治維新を経て西洋医学が急速に普及し始めた時代において、依然として庶民のあいだで根強い需要を保っていた和方(日本古来の漢方・薬草治療)を支える実用辞典でした。いろは順に薬名や症状、処方法が収録されている点から、実際に町医者や薬種問屋、農村の医術家などが日常的に使用していた可能性が高く、当時の医療実態や薬学的な実務運用を探る上でも貴重な一次資料です。今回お譲りいただいた蔵書には、虫食い・脱落も見られず、墨書の旧蔵印や筆による書き込みなどが大変味わい深く、むしろ歴史資料としての価値を高める結果となりました。

薬学書の査定において重要となるのは、「実用性」「学術性」「歴史的意義」「保存状態」「出版背景」の5点です。とくに古典薬学資料は、出版年や刊本形式(木版か活版か)、用紙や表紙の様式から推定できる刷数や発行所の情報が、価値を左右する大きな要素となります。今回の『新薬以呂波地引』については、表紙裏に版元である大阪の薬種商組合の印が確認でき、内容も原本に忠実な木版本であることが判明。挿図入りで記された薬草の絵図や図解も精緻で、彩色こそ施されていないものの、筆致は明確に読み取れる保存状態でした。さらに、薬名の隣に現代で言う「効能」や「煎じ方」「適応症」が併記されており、当時の用薬文化を実感できる点も評価されました。

ブックリバーではこのような歴史性の高い薬学書の査定において、古文書や和本の査定に長けたスタッフが対応にあたります。とくに和方医書・薬種商記録・製薬手引書などは、現代医学とは異なる評価観点が必要です。たとえば現代医学書であれば最新改訂版の有無が重要ですが、古書の場合は逆に「初版であること」「書写による補足があること」「当時の医療慣習が反映されていること」などが価値につながるため、査定士の知識と経験が問われます。今回も、査定担当者が古典医療資料としての系譜と、近代日本薬制史との関係を丁寧に確認した上で、相場を超える評価を行いました。

実際に査定を担当したスタッフからのコメントをご紹介します。「『新薬以呂波地引』はその名の通り、非常に実用性を意識して構成された書物です。読みやすく、索引的な構造を持ちながらも、各薬剤の背景や民間療法的使用法まで記述されており、明治初頭における“生活と薬”の距離の近さを示してくれる資料です。お譲りいただいた一冊は、墨書での書き込みに施薬家の署名らしきものも確認でき、これが地域的な実地医療に用いられていたものとすれば、その史料価値は計り知れません。古文書と実用書が交差するこのような書籍は、まさに私たちが力を入れている分野であり、大切に扱わせていただきたいと思いました」

埼玉県は、江戸からの物流が発達した地域であり、薬種商や医者が多く活動していた歴史があります。現在でも川越市・秩父市・熊谷市・さいたま市などを中心に、古い薬箪笥や薬草標本、製薬関連の書籍類が眠っているケースが少なくありません。今回のような貴重な薬学書の査定依頼をいただけることは、地域に根差した古書店としても非常にありがたく、誇りある業務のひとつです。

また、依頼主様からも「近所のリサイクル店では内容を理解してもらえなかったので、専門的に見ていただけて安心しました。高く買い取ってもらえて嬉しいです」とのお言葉をいただきました。当店では、こうしたお客様の「本当に価値を理解してくれるところに任せたい」というお気持ちに応えるため、全ジャンルに精通した買取スタッフを育成し、即日対応・丁寧査定・適正価格提示を徹底しています。

薬学に限らず、医学・看護・本草・生薬・製薬史に関連する書籍資料の買取は、全国的にも価値が見直されている分野です。電子化されていない、アーカイブにも残っていない、あるいは個人所蔵ゆえに埋もれている——そんな資料を新たな研究者・研究機関・教育者に届けることが、私たちブックリバーの使命でもあります。埼玉県内にお住まいの方で、古い薬学書や医療関係資料をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。状態不問・ジャンル不問・冊数不問で対応いたします。

知識と文化の橋渡しとして、これからも誠実な対応を心がけてまいります。今回お譲りいただいた『新薬以呂波地引』も、専門性を正しく評価し、次の世代へ確かに受け継がれるように取り扱わせていただきます。どうぞ大切な資料の行き先に、ブックリバーをお選びいただければ幸いです。