フェードン 魂の不死性についての買取実績詳細
- 買取書籍名
- フェードン 魂の不死性について
- 買取日
- 2025年8月25日
- 買取方法
- 出張買取
- ジャンル
- 思想書・哲学書
- 冊数
- 1冊
- 主な内容
- M. メンデルスゾーン フェードン 魂の不死性について(1769年第三版)
- 本の状態
- やや劣化
- 買取理由
- 長年収集されてきた蔵書の一部を整理
- 高価買取となった理由
- 現代においても、死生観や人間存在の意味を問う議論の出発点として参照され続けているため
※掲載している買取実績は、お客様の同意を得た上で一部情報を加工しております。買取価格は市場価値や本の状態により変動いたします。
M. メンデルスゾーン フェードン 魂の不死性について(1769年第三版)の買取を行ったスタッフからのコメント
江東区にお住まいのお客様より、18世紀ドイツ啓蒙思想を代表する哲学者モーゼス・メンデルスゾーンの名著『フェードン 魂の不死性について(1769年第三版)』をお譲りいただきました。本書はソクラテスが死を前に語ったとされる魂の不死に関する対話篇『パイドン』に着想を得て執筆され、啓蒙時代の合理精神のもとで宗教的信念と哲学的思索を架橋する試みとして高く評価された作品です。メンデルスゾーンはユダヤ系ドイツ人として宗教的偏見に直面しながらも、理性によって魂の不死性を論じ、死の恐怖を超えた人間の尊厳を提示しました。『フェードン』は18世紀の知識人社会に大きな衝撃を与え、ヨーロッパ全土で広く読まれた哲学的ベストセラーとなりました。
今回お譲りいただいたのは、初版から数年後に刊行された1769年の第三版。初版(1767年)が瞬く間に売り切れ、再版を重ねた結果として刊行されたものであり、当時の読者の強い関心と人気を物語っています。18世紀当時の装丁をそのままに残した稀少な洋書であり、紙質や印刷も当時の雰囲気を伝える歴史的価値を持っています。こうしたオリジナル版は現存数が限られており、美しい保存状態で残されていること自体が極めて稀少であり、古書市場においても非常に高い評価を受けます。
ご依頼主は江東区にお住まいのご家庭で、先代が哲学や西洋思想に深い関心を持ち、長年収集されてきた蔵書の一部を整理する中で当店へご相談くださいました。「祖父が生涯をかけて集めた書物を、適切に評価し、次に必要とする研究者や愛好家に届けてほしい」とのご意向をお持ちであり、その思いに応える形で丁寧に査定を行いました。実際に手に取ると、革装の背表紙や綴じ部分に多少の経年劣化はあるものの、本文の印字は鮮明で、ページの破損や大きな欠落はなく、保存状態は18世紀の書籍としては極めて良好でした。査定額をご提示した際には「想像以上の評価をいただき、安心して手放せる」と大変ご満足いただきました。
『フェードン』は、啓蒙時代の哲学的潮流を象徴する作品でもあります。理性と信仰を対立させるのではなく、相補的な関係に置く姿勢は、同時代のカントやレッシングらに影響を与え、宗教哲学や倫理学に広がりを見せました。魂の不死性をめぐる議論は、単なる宗教的信仰の再確認ではなく、人間の理性的能力によって死を超越する可能性を示した点で画期的でした。現代においても、死生観や人間存在の意味を問う議論の出発点として参照され続けています。
査定において特に重視されるポイントは以下の三つです。
- 保存状態:18世紀刊行本のため、革装の劣化、紙質のヤケやシミ、虫損の有無が重要。美品は極めて稀少であり、大きな評価ポイントとなります。
- 版と完備度:今回のような第三版など、刊行当時の複数版はそれぞれ歴史的価値を持ちます。欠落や改装のないオリジナル装丁の完備本は高価査定につながります。
- 需要と希少性:メンデルスゾーンは啓蒙思想の代表的哲学者であり、『フェードン』は彼の代表作。哲学研究者や欧州思想史研究者にとって必須の資料であり、需要が安定しています。
今回の『フェードン』は、これら三条件をすべて満たしていました。保存状態は極めて良好で、第三版という歴史的価値、そして研究需要の高さが揃い、総合的に高価査定を実現できました。
江東区は学問や文化への関心が高い方々が多く暮らしており、哲学書や洋書の買取依頼をいただくことが増えています。今回のお客様も「本を単に売るのではなく、正しく評価してほしい」というお気持ちを強く持たれており、その思いに応えることができたことは査定員としても大きな喜びでした。査定現場では、一冊ごとに革装の劣化度合い、ページの紙質、インクの鮮明さを確認しました。とりわけ18世紀の洋書は保存状態の差が価値に直結するため、慎重な評価を行いました。
市場動向を見ても、18世紀の哲学書は世界的に需要が高く、特にメンデルスゾーンの『フェードン』のように哲学史・宗教思想史双方で重要な位置を占める作品は、今後も安定した価値を持ち続けます。電子化が進む時代であっても、歴史的に実際に刷られた書物にしかない存在感や資料的価値は決して失われません。
BOOKRIVERでは江東区をはじめ東京都内全域で出張買取を承っております。18世紀刊行の洋書や哲学書は重量やサイズが大きく、運搬も困難ですが、当店スタッフが直接伺い、その場で査定から現金でのお支払いまで行います。専門知識を持つ査定員が、市場データや過去の取引実績を踏まえて誠実に評価いたします。
哲学書の買取は、単なる古書取引ではなく、人類の思想的遺産を未来に引き継ぐ営みです。『フェードン』のような歴史的名著が、新しい研究者や愛好家の手に渡ることで、再び学びの糧となることは非常に大きな意義があります。今回のご依頼を通じて改めて感じたのは、本にはその時代の思想や人々の精神が宿っており、それを未来へ受け渡すことこそが査定員の使命だということです。
この度、江東区で買取させていただいた『M. メンデルスゾーン フェードン 魂の不死性について(1769年第三版)』は、保存状態、版の希少性、需要という三条件をすべて満たしていたため、高価査定とさせていただきました。BOOKRIVERでは哲学書 買取 江東区をはじめ、18世紀哲学書、啓蒙思想関連書籍、洋書の古典的名著の買取を強化しております。江東区で蔵書整理や哲学書の売却をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。大切に受け継がれてきた哲学書を誠実に査定し、その価値を未来へとつなげてまいります。