医学書 外科正宗の買取実績詳細


項目 | 詳細 |
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買取日 | 2025年2月18日 |
買取方法 | 出張買取 |
買取金額 | 20,000円 |
買取地域 | 東京都 新宿区 |
ジャンル | 医学書・薬学書・看護学書 |
冊数 | 全4冊 |
主な内容 | 古書 「外科正宗」4冊 寛政年号木版画挿絵付 |
本の状態 | 傷汚れあり |
外科正宗の買取を行ったスタッフからのコメント
『外科正宗』は、江戸時代後期の寛政年間(1789〜1801年)に刊行された日本の外科学に関する代表的古書であり、和本医学書の中でも特に名高い資料のひとつです。医学が中国・蘭学・民間療法と多様に展開していた江戸時代にあって、本書は伝統的な漢方医学に基づきながら、外科的処置に特化した記述を特徴としています。「正宗」という書名が示す通り、正統な学問としての外科を追究した体系的な構成がなされており、初学者から実務家までを対象とした内容となっています。
本書の価値は、その内容の広範さと記録的精密さにあります。全4巻には、外傷の処置、腫瘍の切除、骨折の矯正法、火傷や虫咬傷に対する薬膳的対応などが詳細に記載されており、それぞれに対応する木版画が付されている点も見逃せません。これらの図版は、単なる視覚資料にとどまらず、当時の医学知識を視覚的に後世に伝える貴重な証拠資料でもあります。特に、手術器具の形状や、施術時の身体の取り扱い方法、包帯の巻き方に至るまで、実際の施術現場を想起させる描写がなされている点は、今なお多くの医学史研究者や博物館関係者から注目されています。
『外科正宗』が刊行された時代背景にも着目する必要があります。江戸後期は庶民の医療意識が高まり、町医者や施薬院が広く活動するようになった時代です。特に都市部では、往診の文化とともに、医学知識の平準化が進み、こうした実用的な医学書が大衆の手に渡るようになりました。従来の学問的医学書とは異なり、『外科正宗』は実際の施術に直結する知識と技術を提供していたため、医療現場での即戦力として重宝されたといわれています。
また、翻訳医学(蘭学)の影響が及ぶ前の、いわば純粋な和漢医学の最後の成熟期を象徴する一冊であるとも評されており、現代においては「江戸医学の到達点」を知るうえで欠かせない資料とされています。そのため、学術的な研究用途にとどまらず、文化財的価値の高いコレクターズアイテムとしても流通価格が高騰する傾向にあり、今回のような全巻揃いの完本が出回る機会は非常に希少です。
今回の買取において、当店の査定担当が特に重視したのは以下の3つの観点です。「全巻揃いであること」「保存状態の良さ」「木版画挿絵の鮮明さおよび欠損の有無」がその評価軸となりました。
まず第一に、「全巻揃っているかどうか」は古書市場における価値を大きく左右します。『外科正宗』のような多巻構成の古書では、1冊でも欠けてしまうと市場価値が半減してしまうことも少なくありません。今回は寛政年間刊行の全4冊が欠けることなく揃っており、奥付・版心もすべて確認が取れたため、資料的な完全性が非常に高いものと判断されました。
次に「保存状態」です。江戸時代の和本は、紙質・綴じ糸・装丁に繊細な素材が使われているため、保管環境によって状態に大きな差が出ます。虫損・水濡れ・日焼け・綴じほつれ・落丁など、評価を下げる要因は数多く存在しますが、今回の4冊は和紙の色合いが自然で、虫損やカビも見られず、蔵書印・墨書きも極めて少ないという理想的な状態でした。とりわけ、綴じ糸が当時のまま残されている点は、資料的・美術的にも高評価の要因となりました。
三点目は「木版画挿絵の保存状態と稀少性」です。『外科正宗』には、外科施術や薬草図、人体構造を描いた精緻な木版画が多数含まれていますが、これらが欠けていたり、擦れや破れがある場合は価値が著しく低下します。今回の品は、全ページの挿絵が鮮明に残っており、墨の濃淡もくっきりと確認できる状態でした。これにより、医史学的・美術史的な観点からも資料価値が保証されると判断し、可能な限り高い査定額をお付けする形となりました。
東京都新宿区にて『外科正宗』全4冊(寛政年号 木版画挿絵付)を高価買取させていただきました。江戸時代後期の医学書としての資料的価値、全巻揃いかつ良好な保存状態、木版画の完全性と鮮明さ、さらには医師一家による丁寧な管理といった諸要素が高額査定の大きな要因となりました。本書は、日本の医学史を語るうえで欠かせない重要文献であり、単なる古書を超えた文化的遺産ともいえる存在です。
当店では、こうした古典医学書・医術書・和本など、専門的かつ希少な書籍の査定・買取において豊富な実績がございます。古書の価値を正確に見極め、学術的・歴史的文脈を踏まえたうえで、適正かつ納得のいく査定価格を提示いたします。また、都内での出張買取にも対応しており、新宿区を含む23区全域はもちろん、関東近郊でも迅速なご対応が可能です。
とりわけ新宿区は、大学・研究機関・医療施設が集中しているエリアでもあり、学術的な蔵書や歴史的文献を所蔵されている方からのご相談が多く寄せられます。当店では、そうしたご要望に応えるため、専門スタッフが直接お伺いし、1点ずつ丁寧に状態を確認のうえ、査定・買取を行います。大切な資料を未来へと受け継ぐためにも、書籍の価値を最大限に活かす橋渡し役を担ってまいります。
もしご自宅に眠る医学書や古典文献、研究資料などの整理を検討されている方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。専門知識と豊富な経験をもとに、安心と信頼の査定をご提供いたします。『外科正宗』のように、ご自身やご家族にとって大切な歴史の一部を、次の世代へと引き継ぐお手伝いができれば幸いです。