ハム・ソーセージ教本の買取実績詳細
- 買取書籍名
- ハム・ソーセージ教本
- 買取金額
- ¥10,300
- 買取日
- 2025年8月9日
- 買取方法
- 出張買取
- ジャンル
- 趣味の本・実用書
- 冊数
- 1冊
- 主な内容
- ハム・ソーセージ教本 大型本 マルセル・コッタンソー他
- 本の状態
- 普通
- 買取理由
- 業務用として購入、使う機会が減ったため整理
- 高価買取となった理由
- 大型専門書は発行部数が少なく、市場での流通も限られているため、今回のような美品は高価買取の対象となるため
※掲載している買取実績は、お客様の同意を得た上で一部情報を加工しております。買取価格は市場価値や本の状態により変動いたします。
ハム・ソーセージ教本 大型本 マルセル・コッタンソー他の買取を行ったスタッフからのコメント
東京都葛飾区にお住まいのお客様より、フランスの食肉加工技術を体系化した名著『ハム・ソーセージ教本』大型本をお譲りいただきました。本書は、著者の一人であるマルセル・コッタンソーをはじめとする欧州の技術者によって編纂されたもので、食肉加工の理論と実践を兼ね備えた代表的な実用書として知られています。肉の部位ごとの処理方法、温度管理、塩漬けや燻製の工程、発酵の役割、保存方法にいたるまで、ソーセージやハムの製造に関する知識を網羅しており、世界的に高い評価を受けてきました。日本では20世紀後半に翻訳版が出版され、精肉業界や調理師学校にとって不可欠な教材として活用されましたが、現在では絶版となり、古書市場でしか手に入らない希少本となっています。
今回ご依頼いただいたのは、葛飾区で長年飲食業に携わってこられた方で、厨房や倉庫に保管してきた専門書の整理を進めるなかで「ただ手放すのではなく、価値を理解してくれる人の手に渡してほしい」との思いから当店にご相談いただきました。実際に拝見した本は、大型のハードカバーに収められ、カバーに多少のスレやヤケがあるものの、本文の紙質はしっかりとしており、図版や写真も鮮明で、ページの欠損や大きな書き込みは一切ありませんでした。食品加工の実務現場で使われてきたにもかかわらず、油シミや強い臭いもなく、丁寧に扱われてきたことが伝わる状態で、査定員としても大きな驚きを覚えました。
査定額をご提示すると、「まさかこんなに高く評価されるとは思っていなかった」と驚かれ、「長年仕事を支えてくれた本を、次に必要とする人に渡せるのは嬉しい」とのお言葉をいただきました。私たち査定員にとっても、単なる本ではなく、職人の知識と経験を支えてきた専門書を次へと橋渡しできることは大きな責任であり、喜びでもあります。
『ハム・ソーセージ教本』は、単なる料理本ではありません。ヨーロッパにおいて食肉加工は中世以来の伝統を持ち、保存食としての機能から、やがて贈答や高級食文化へと発展してきました。ドイツのマイスター制度やフランスのシャルキュトリーの伝統は、職人教育の中核に位置づけられており、その体系的知識を整理して伝えたものが本書なのです。日本では戦後に食文化の多様化が進み、輸入食品や外食産業の拡大とともに、本格的なハム・ソーセージ製造技術を学びたいという需要が高まりました。調理師学校や製肉会社の研究所、さらには食品衛生教育の現場でも、この本は必携の資料として利用され、数多くの技術者を育てる基盤となってきました。
査定の際に特に重視するポイントは以下の三点です。
- 保存状態:大型の専門書は調理場や研究室で実際に使われることが多く、油シミや水濡れ、強い臭気が残っている場合があります。函やカバーの有無、ページの破損、図版の鮮明さ、書き込みの有無を細かく確認し、実用に耐える状態であれば評価が高まります。
- 希少性と版の種類:初版か重版か、翻訳版かオリジナル版か、図版や付属資料の欠落がないかどうか。特に絶版となって久しい場合は市場供給が少なく、希少性がそのまま価格に反映されます。
- 需要と利用価値:現役の研究者、調理師学校、食品加工業界にとって今なお参照する価値があるか。現場で役立ち続ける知識を含む実用書は需要が安定し、高価査定につながります。
今回の『ハム・ソーセージ教本』は、これら三点をすべて満たしていました。保存状態が極めて良く、絶版となって流通量が限られており、さらに今でも実務的に利用価値が高い一冊であったため、総合的に高価買取を実現することができました。
葛飾区という地域性にも触れておきたいと思います。葛飾は下町の文化を色濃く残すエリアであり、精肉店や小さな加工場が今も点在しています。町工場や職人の文化と同じように、食の現場でも「技術と知識を受け継ぐ」姿勢が息づいており、そこに専門書が深く関わってきました。代々受け継がれた店舗や工房の片隅には、こうした専門書が眠っていることが少なくなく、今回のご依頼もその一例でした。「ただの古本」として処分されがちな実用書が、次の世代に価値を持って受け渡される過程に立ち会えたことは、査定員として非常に意義深いものでした。
また、市場動向の観点からも補足しておきます。食品加工の専門書は、日本国内だけでなく海外からも需要があります。和訳版であっても、図版やレシピが豊富に含まれているため、海外の研究者や料理学校で利用されることがあり、インターネット取引の普及に伴って国際的な需要が高まっています。そのため保存状態が良い本は国内外問わず高額で取引されることが珍しくありません。特にヨーロッパで再評価されている伝統的な加工技術は、日本語資料であっても研究対象となることがあるのです。
査定の現場で印象に残ったのは、紙質と印刷の良さでした。厚手の紙に精細な写真と図版が印刷されており、肉の断面図や器具の図解は、数十年を経た今も鮮明に残っていました。ページをめくるとインクの匂いがわずかに漂い、専門書としての存在感を放っていました。こうしたディテールは、古書としての魅力であると同時に、専門書ならではの資料的価値を示しています。
BOOKRIVERでは、葛飾区をはじめ東京都内全域で出張買取を行っています。実用書や専門書は重量があり、大型本は特に運搬が困難ですが、スタッフがご自宅や店舗に伺い、その場で査定と現金でのお支払いを行います。専門性の高い実用書は一般的な古本店では適正な評価をされにくいのですが、当店では過去の取引データや市場動向を踏まえ、専門スタッフが正しい価値を算出します。
実用書の買取は、単なる売却ではなく知識と文化の継承です。『ハム・ソーセージ教本』には、職人の手仕事と食品衛生学の両面が凝縮されており、現代の食文化を支える基盤となっています。今回の買取を通じて改めて実感したのは、一冊の専門書が持つ重みです。料理人や研究者の努力を支えてきた知識を未来へ引き継ぐことは、査定員としての誇りでもあります。
この度、葛飾区で買取させていただいた『ハム・ソーセージ教本』大型本は、保存状態の良さ、希少性の高さ、実用的価値という三つの観点から高価査定とさせていただきました。BOOKRIVERでは、料理や食品加工、農業、工学、医療など幅広い分野の実用書・専門書の買取を強化しています。葛飾区で蔵書整理や専門書の売却をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。お客様が大切にしてきた一冊一冊を誠実に査定し、その価値を未来へとつなげてまいります。