エロ本 希少 妖婦の買取実績詳細


希少 妖婦の買取を行ったスタッフからのコメント
埼玉県にお住まいのお客様より、昭和期の稀覯本として知られるアダルトジャンルの希少書籍『妖婦』を買取させていただきました。本書は単なる官能小説としての価値にとどまらず、日本のエロティシズム文化史における貴重な資料のひとつとされており、現在も根強いコレクター需要のある一冊です。今回のご依頼は、ご実家の整理中に発見された蔵書の中からお選びいただいたもので、当店ブックリバーにとっても非常に印象的な買取となりました。
『妖婦』は、昭和30年代〜40年代の雑誌文化や貸本文化の影響を色濃く受けた作品群の中に位置づけられる作品です。性や背徳をテーマとしながらも、単なる扇情的な描写ではなく、当時の社会的抑圧や個人の内面世界を文学的に表現した文体が特徴的で、現在ではむしろ文学資料や社会史資料として高く評価されています。また、挿絵には木版画調や銅版画風のタッチで描かれた妖艶な女性像が用いられ、表紙の装丁も含めて一種の美術品としての側面を持っています。
今回お持ち込みいただいた『妖婦』は、発行年の記載が確認されなかったものの、奥付や装丁から昭和30年代後半の私家版と推定されるものでした。印刷所の情報も最小限に抑えられており、いわゆる“地下出版”的性質を持つ稀少資料と考えられます。こうした出版物は当時、法的な規制を回避しながら一部の愛好家・収集家のもとで流通しており、現在ではその流通数の少なさと保存状態の影響から、非常に高額で取引されることもあります。
ご依頼いただいた埼玉県は、首都圏に位置しながらも文教エリアや歴史的背景を持つ地域が点在しており、古書文化・アーカイブ資料に対する理解の深いコレクターの方も多くいらっしゃいます。とくに川越市や所沢市、大宮エリアなどでは戦後文化を象徴する雑誌やアングラ資料、私家版詩集、幻の画集などの買取実績も豊富で、当店としてもその地域性を意識した査定対応を心がけています。
さて、今回の『妖婦』査定において、当店が特に注目したのは以下の3点です。
まず第一に、保存状態の良さです。アダルト系古書、とくに紙質が粗悪な私家版や無版権出版物では、経年劣化によるページの欠損、ヤケ、虫喰い、表紙の剥離などが多く見受けられます。しかし、今回のご依頼品は外装に若干の色あせはあるものの、背割れや破れが一切なく、綴じ部分も当時のまま丁寧に保存されていました。この点は査定額を大きく押し上げる要因となりました。
次に、挿絵や図版の完全性です。アングラ系や官能文学では、本文とは別に挿入される図版が購入者にとって大きな魅力となることが多く、これらが全ページ揃っているかどうかは、価値を左右する大きなポイントです。本書では、巻頭に見開きで挿入された木版風の美人画を含め、全6点の図版が欠けることなく収められており、これはコレクター市場でも高評価につながる重要な要素です。
そして第三に、希少性と市場価値のバランスです。『妖婦』のようにタイトルが判然とせず、著者名や出版社情報がほとんど不明である場合、インターネット上での情報検索が難しくなります。しかしながら、過去の古書オークション結果や専門ディーラーとのネットワークから、市場に数点しか出回っていない書籍であることが確認でき、査定時にはそうした裏付けをもとにした評価を行いました。
今回の買取に対応したブックリバーのスタッフより、査定時の印象について以下のようなコメントをもらっています。
「最初にこの本を手に取ったとき、その独特な手触りと重厚な紙質に驚かされました。丁寧に作られた私家版であることがすぐに伝わってきましたし、ページをめくるごとに描かれた妖艶な女性像や詩的な文体から、単なるエロティック・ノベルという枠を超えた、ひとつの“表現”としての完成度の高さを感じました。こうした作品は保存状態と市場動向の両方を考慮しながら、慎重に査定を進めていく必要があります。今回は大切に保管されていたことが随所に伝わってきましたので、最大限の評価をさせていただきました。」
また、ご依頼主様からは「価値があるかわからなかったけれど、丁寧に説明してくれて安心した」とのお言葉を頂戴し、スタッフ一同、大変励みとなりました。
ブックリバーでは、こうしたジャンルにおいても誠実な対応と専門的な目利きをもって査定を行っております。とくに戦前・戦後のエロス文化や、民俗学的視点から再評価されつつあるアダルトジャンルの資料については、貴重な文化遺産としての側面にも注目しながら、価値のあるものを次世代へとつなぐ架け橋として、買取・販売を行っております。
埼玉県内でアダルト系古書・資料の整理をご検討中の方がいらっしゃいましたら、どうぞお気軽にご相談ください。内容に応じた丁寧な対応をお約束いたします。