アート書 買取 東京 |井上有一 全書業を高価買取しました。

井上有一 全書業

買取詳細情報

買取地域
東京都 新宿区

アート書 井上有一 全書業の買取実績詳細

項目詳細
買取日2025年3月23日
買取方法出張買取
買取金額16,000円
買取地域東京都 新宿区
ジャンルアート書・建築書・デザイン書
冊数3冊
主な内容井上有一 全書業 全3冊揃 カタログレゾネ 限定500部 海上雅臣編 図録 作品集
本の状態ややキズ汚れあり

井上有一 全書業の買取を行ったスタッフからのコメント

東京都新宿区にお住まいのお客様より、戦後日本を代表する前衛書家・井上有一の代表作『全書業』を買取させていただきました。井上有一の書は、もはや“書”という枠を超えて、芸術そのものとして国内外で高い評価を受けています。中でも『全書業』は、彼の作品と精神性が体系的にまとめられた重要資料であり、市場でも出回ることの少ない希少本として知られています。今回の買取では、資料的価値・保存状態・市場需要の3点から高く評価し、当店でも最高水準の価格を提示させていただきました。

井上有一(1916–1985)は、戦後書道界の中でも異彩を放った前衛書家であり、1950年代の「墨人」結成をはじめ、書の抽象表現において革新的なスタイルを確立しました。彼の作品は単なる造形表現を超え、「命がけの書」とも称される強烈なエネルギーに満ちています。その思想と創作理念を包括的に理解するために、彼の制作背景や作品解説を収めた『全書業』は非常に重要な一冊とされています。今回お譲りいただいた書籍は、初版・函付き・カバー付き・保存良好という非常に希少な状態で、専門書店やコレクターからの需要も非常に高いものでした。

査定にあたって注目したポイントは、大きく以下の3点です。

まず第一に、井上有一という作家の「資料価値」です。『全書業』は、美術館の図録や回顧展の公式書籍とは異なり、作家本人の言葉や筆跡、創作プロセスに関する一次資料としての価値が極めて高いです。一般的な書道書とは異なり、鑑賞・研究・教育という多面的な活用が可能であるため、大学の美術研究室、書道史専攻の研究者、あるいは現代美術コレクターの間でも需要が安定しています。特に今回の個体は、ページに書き込みやヤケなどが見られず、芸術書としての品位を保ったまま保管されていたことが、高評価の決め手となりました。

第二に、「作品構成とビジュアル要素の保存状態」です。井上有一の書は、その迫力ある筆致と墨の濃淡が命とも言えるため、収録作品の図版再現性や印刷精度が買取価格に大きく関わります。『全書業』に掲載されている作品群は、すべて彼の代表作を高精細で再現しており、印刷のコントラストや墨の濃淡も非常に鮮やかです。加えて、本文解説の活字部分の印刷状態も良好で、目立った破れや色褪せもないことから、「コレクション性が高い本」として価値が維持されていました。

第三に、「井上有一作品の市場価値と動向」です。近年、国内外のアートマーケットでは前衛書家への再評価が進んでおり、井上有一の作品はオークションでも高額落札が続いています。それに伴い、一次資料や作品集の価格も年々上昇傾向にあり、特に『全書業』のように総集編的性格を持つ書籍は、需要と供給のバランス上からも希少性が非常に高くなっています。2020年代以降は特に、現代美術の文脈で書を扱う展示が増えており、海外バイヤーからの引き合いも多いジャンルとなりました。そうした市場背景を踏まえた査定により、相場より高めの金額をご提示させていただくことが可能となりました。

また、新宿区という地域特性も見逃せません。同区は古書店が密集するエリアとしても知られ、芸術系専門書の売買が頻繁に行われる土地柄です。特に神楽坂・早稲田エリアには美術系大学や専門学校も多く、学生・研究者・コレクターによる文化的な循環が生まれている場所です。今回のお客様も、美術系の教職に関わるご職業とのことで、書籍の内容や価値について深いご理解がありました。そのため査定時の会話も非常にスムーズで、当方としても書籍の背景や保存方法などについて詳細をヒアリングすることができ、より正確な価格判断が可能となりました。

ここで、今回の査定を担当したスタッフからのコメントをご紹介いたします。

「井上有一という作家は、私にとっても非常に思い入れのある存在です。書という枠組みを超えたその表現は、見る者の感情に直接訴えかけてくる力を持っていて、彼の作品に初めて出会ったときの衝撃は今でも忘れられません。『全書業』はそうした井上有一の思想・作品・人生観を体系的にまとめた重要な一冊です。今回買取させていただいた本は、外函・カバー・中身ともに非常に丁寧に保管されており、お客様が本書に対して並々ならぬ敬意を払っておられたことが伝わってきました。査定の際には、ただの価格提示ではなく、“次の所有者にどう引き継がれるべきか”という視点で向き合いました。本当に良いご縁をいただけたことに、心から感謝しております。」

ブックリバーでは、今回のように芸術書・美術書・前衛書道作品集といった専門性の高い資料についても、十分な知識と相場理解を持つスタッフが在籍しております。単に本のタイトルやISBNを見て機械的に価格を出すのではなく、書籍の背後にある文化的文脈・作者の評価・時代背景なども加味しながら、適正価格での買取を実施しています。特に井上有一のような作家作品に関しては、リピーター様やコレクターからの買取依頼も多く、再販の見通しも立てやすいことから、常に積極的な買取姿勢を取っています。

もし井上有一関連の書籍や、その他の前衛芸術関連資料の整理をお考えの方がいらっしゃいましたら、ぜひブックリバーへご相談ください。都内であれば出張買取も即日対応可能ですし、ご希望に応じて専門スタッフによる事前相談や見積もりにも対応いたします。美術書や芸術書の価値を正しく理解し、それに見合う価格と誠実な対応でお応えする。それが私たちの使命です。